以前からハーブに興味があって、ときどきハーブティーを飲んでいましたが、先日からハーブを使った化粧品の手作りを始めました。その関係の本をいろいろ読んでいると、「ローズマリー」や「ローズ」「ローズヒップ」、「ラベンダー」などの名前がよく出てきます。
先日、酢につけて作っていた「ローズマリー」のリンスがやっと使えるようになったところです。(リンゴ酢に、二週間ほどドライハーブの「ローズマリー」の葉っぱを漬け込みます。)
その「ローズマリー」。この名には、すぐアガサ・クリスティの長編『忘られぬ死』を思い出しました。
「ローズマリー」は、この作品中の富豪の姉妹の姉の名前。妹の名は「アイリス」。日本でも「百合」や「桜」など、花の名前を女の子に付けるのは珍しくないから、同じ感覚でしょうね。
ただ、「ローズマリー」の花言葉は「追憶」というらしく、それをモチーフとして活かして、物語が進行します。
この『忘られぬ死』の「ローズマリー」は、物語が始まった時点ですでに亡くなっていて、その姉に関する記憶を妹の「アイリス」が思い出すところから展開します。

『忘られぬ死』は、1944年(昭和19年)の発表ですが、それより5年前の1939年に発表された短編『黄色いアイリス』と設定が似ています。
但し、こちらは姉の名が「アイリス」、妹の名は「ポーリーン」です。多分、『黄色いアイリス』をもっと掘り下げて物語りたいと考えた作者が5年後に『忘られぬ死』に仕立てたのだろうと推測しています。
その際に、「追憶」という花言葉を持つ「ローズマリー」の方が、姉の名にふわさしいと思ったのでしょう。作者は登場人物たちの「ローズマリー」に関する過去の記憶を、詩的な文章で表現しています。
『黄色いアイリス』を読んでから『忘られぬ死』を読むと、設定が似ているので始めはまごついて、「もしかして焼き直し?」と思ってしまいます。
でも、ミステリーの女王と称されたアガサ・クリスティは、さすがにそんな陳腐なことはしません。『黄色いアイリス』を先に読んでいても、『忘られぬ死』は、充分にミステリーとして堪能できます。

登場人物ひとりひとりの過去を掘り起こすのは、クリスティのお得意です。「ローズマリー」の死を巡る事情が、登場人物たちによって様々な角度から語られます。そして読者に事情がすっかり飲み込めたところで、満を持して、次の事件が起こります。
この作品は、事情を語るところが「第一篇 ローズマリー」、次に事件が起こるまでが「第二篇 万霊節」、そして物語が大きく展開して大団円に至る「第三篇 アイリス」と大きく三篇に分けられています。(私が読んだのは、ハヤカワ・ミステリ文庫です。)
一篇ごとに物語の色彩が変わるような印象があり、私はとても洒落た構成で、そして人間ドラマとしてもとてもおもしろいと思っています。
登場人物の性格描写なども、「類型的過ぎる」と批判する向きもあるようですが、私はそうは思いません。「こういう性格の人物なら、こう考えてこう行動するだろうな」と、納得できる描写です。
単なる犯人当ての物語ではなく、「人間」が描かれているところが私はとても好きです。タイプは違いますが、ホームズものと同じように、クリスティの小説も何度読み返しても、おもしろいのです。

そうは言っても推理小説である以上、「犯人は誰か?」ということが気になるでしょうが、実は犯人を示唆する記述は、結構早い段階で出ています。
でも、これでピンと来る人はなかなかいないでしょう。よほど注意深く文章を読む人で、クリスティのスタイルに精通していなければ。
私は・・・やっぱりクリスティの術中にはまりました。謎解き場面で「この人〜っ!!!」と驚き、読み返してみて、「なるほど・・・」と思いました。
そして、ラストシーンでは本物のローズマリーの小枝がとても効果的に使われて、「美しいけれど、頭はからっぽ」と思われていた故人のイメージを覆し、姉妹の愛情を感じさせるエンディングとなっていて、印象に残ります。

この『忘られぬ死』はドラマ化されていないようですが、短編の『黄色いアイリス』は、デビット・スーシェ主演の『名探偵ポアロ』のシリーズでドラマ化されています。
こちらは原作よりも少し物語を膨らませていますが、これはこれで、俳優たちの魅力で結構見せてくれます。タイトルはわからないのですが、ドラマの中で使われるジャズっぽいきれいな歌が印象的です。
この『黄色いアイリス』に限らず、デビット・スーシェの『名探偵ポアロ』のシリーズは、音楽や小道具、建物など凝っていて映像がきれいで、ユーモアもあり、良質のドラマ群です。
なによりも、主役のポアロを演じるデビット・スーシェがとても良くて、原作のイメージを壊すことなく、更に人間味を加えています。原作ファンに評価が高いので、まだポアロものを読んだことがない人にも、こちらのドラマはお勧めです。

クリスティの作品の紹介ページはまだないのですが、本サイトもよろしく。
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先日、酢につけて作っていた「ローズマリー」のリンスがやっと使えるようになったところです。(リンゴ酢に、二週間ほどドライハーブの「ローズマリー」の葉っぱを漬け込みます。)
その「ローズマリー」。この名には、すぐアガサ・クリスティの長編『忘られぬ死』を思い出しました。
「ローズマリー」は、この作品中の富豪の姉妹の姉の名前。妹の名は「アイリス」。日本でも「百合」や「桜」など、花の名前を女の子に付けるのは珍しくないから、同じ感覚でしょうね。
ただ、「ローズマリー」の花言葉は「追憶」というらしく、それをモチーフとして活かして、物語が進行します。
この『忘られぬ死』の「ローズマリー」は、物語が始まった時点ですでに亡くなっていて、その姉に関する記憶を妹の「アイリス」が思い出すところから展開します。

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『忘られぬ死』は、1944年(昭和19年)の発表ですが、それより5年前の1939年に発表された短編『黄色いアイリス』と設定が似ています。
但し、こちらは姉の名が「アイリス」、妹の名は「ポーリーン」です。多分、『黄色いアイリス』をもっと掘り下げて物語りたいと考えた作者が5年後に『忘られぬ死』に仕立てたのだろうと推測しています。
その際に、「追憶」という花言葉を持つ「ローズマリー」の方が、姉の名にふわさしいと思ったのでしょう。作者は登場人物たちの「ローズマリー」に関する過去の記憶を、詩的な文章で表現しています。
『黄色いアイリス』を読んでから『忘られぬ死』を読むと、設定が似ているので始めはまごついて、「もしかして焼き直し?」と思ってしまいます。
でも、ミステリーの女王と称されたアガサ・クリスティは、さすがにそんな陳腐なことはしません。『黄色いアイリス』を先に読んでいても、『忘られぬ死』は、充分にミステリーとして堪能できます。
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登場人物ひとりひとりの過去を掘り起こすのは、クリスティのお得意です。「ローズマリー」の死を巡る事情が、登場人物たちによって様々な角度から語られます。そして読者に事情がすっかり飲み込めたところで、満を持して、次の事件が起こります。
この作品は、事情を語るところが「第一篇 ローズマリー」、次に事件が起こるまでが「第二篇 万霊節」、そして物語が大きく展開して大団円に至る「第三篇 アイリス」と大きく三篇に分けられています。(私が読んだのは、ハヤカワ・ミステリ文庫です。)
一篇ごとに物語の色彩が変わるような印象があり、私はとても洒落た構成で、そして人間ドラマとしてもとてもおもしろいと思っています。
登場人物の性格描写なども、「類型的過ぎる」と批判する向きもあるようですが、私はそうは思いません。「こういう性格の人物なら、こう考えてこう行動するだろうな」と、納得できる描写です。
単なる犯人当ての物語ではなく、「人間」が描かれているところが私はとても好きです。タイプは違いますが、ホームズものと同じように、クリスティの小説も何度読み返しても、おもしろいのです。

そうは言っても推理小説である以上、「犯人は誰か?」ということが気になるでしょうが、実は犯人を示唆する記述は、結構早い段階で出ています。
でも、これでピンと来る人はなかなかいないでしょう。よほど注意深く文章を読む人で、クリスティのスタイルに精通していなければ。
私は・・・やっぱりクリスティの術中にはまりました。謎解き場面で「この人〜っ!!!」と驚き、読み返してみて、「なるほど・・・」と思いました。
そして、ラストシーンでは本物のローズマリーの小枝がとても効果的に使われて、「美しいけれど、頭はからっぽ」と思われていた故人のイメージを覆し、姉妹の愛情を感じさせるエンディングとなっていて、印象に残ります。

この『忘られぬ死』はドラマ化されていないようですが、短編の『黄色いアイリス』は、デビット・スーシェ主演の『名探偵ポアロ』のシリーズでドラマ化されています。
こちらは原作よりも少し物語を膨らませていますが、これはこれで、俳優たちの魅力で結構見せてくれます。タイトルはわからないのですが、ドラマの中で使われるジャズっぽいきれいな歌が印象的です。
この『黄色いアイリス』に限らず、デビット・スーシェの『名探偵ポアロ』のシリーズは、音楽や小道具、建物など凝っていて映像がきれいで、ユーモアもあり、良質のドラマ群です。
なによりも、主役のポアロを演じるデビット・スーシェがとても良くて、原作のイメージを壊すことなく、更に人間味を加えています。原作ファンに評価が高いので、まだポアロものを読んだことがない人にも、こちらのドラマはお勧めです。
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