行動派作家の椎名誠さんのエッセイ、『トンカチからの伝言』を読みました。
これは、週刊文春に連載されているエッセイをまとめたもの。私は週刊誌を読まないので、まとまって単行本になるのをいつも楽しみにしています。
この『トンカチからの伝言』に限らないけれど、椎名さんのエッセイはいつも日本の社会の偽善や無責任なところや、へんてこな「配慮」などもろもろに鋭く切り込んでいて、しかも読んでいてついつい笑い転げてしまうような表現があって、そういう辺りが「楽しみ」の理由です。
その笑いについても、「ユーモア」と「皮肉」があったり。
今回も期待通りに、たくさん笑わせてもらいました。
『爪切りハイジャッカー』」には皮肉な笑いを。
『悲しきタラバガニ』では『理科の実験』のような食事に、素直にクスッと。
『規則を食う人々』ではまた、皮肉な笑い。
『「カーナビゆうこ」との別れ』には、作家らしい想像力で、車を運転しない私にも、そのカーナビとやらについて、なんとなくわかったような気になりました。
でも、一番おもしろかったのは、『ある打圧系作家の苦悩』。
筆圧がもともと強いことから、手の痛みを軽減するためワープロに変えた著者が今度はもろもろの事情により、また、手書き原稿に戻ってしまった、という件りで、「以前より文字が下手になってしまった」という記述があり、その表現がなんとも可笑しい。
実は私も昔よりずっと字が下手になりました。原因ははっきりしていて、職業上、長年、短時間でメモを書かねばならないということを続けていたせいです。
楷書なのに、だんだんきちんと止めやはねを書いてる時間がなくて、楷書でもない、行書でもない、なんとも中途半端な文字しか書けなくなっていて、自分でも「これはまずい」と思い、丁寧に書こうとするのだけども、長年の習慣の結果、やっぱり「変」。
こんな状態の私なので、椎名さんのこの『ある打圧系作家の苦悩』と題された一文は、個人的にもとてもおもしろかったのです。
もちろん、この本全体から、実際に椎名さんが訪れた世界中と日本を比較しての文章の中から日本の問題点がいろいろ浮かび上がってくるので、その辺りも、私にはおもしろいけれど。
その本質的には深くて、笑ってはいられない問題を、独特の文体でさらーっと読みやすく表現してくれているので、読みやすいということでも、優れていると思います。
むずかしいことを、さらにひねくりまわして、訳のわからない文章をとくとくとして新聞に寄稿している学者がよくいますが、むずかしいことをわかり易く表現するほうが本当はむずかしいし、価値があると私は思います。
ただ、椎名さんの、この文春に連載しているエッセイは、人によって好き嫌いが分かれるかも知れません。私は、好きです。
本サイトこども図書館ドットコムもよろしく。椎名誠さんの『冒険にでよう』の説明ページがあります。
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![]() | トンカチからの伝言 (2007/12) 椎名 誠 商品詳細を見る |
これは、週刊文春に連載されているエッセイをまとめたもの。私は週刊誌を読まないので、まとまって単行本になるのをいつも楽しみにしています。
この『トンカチからの伝言』に限らないけれど、椎名さんのエッセイはいつも日本の社会の偽善や無責任なところや、へんてこな「配慮」などもろもろに鋭く切り込んでいて、しかも読んでいてついつい笑い転げてしまうような表現があって、そういう辺りが「楽しみ」の理由です。
その笑いについても、「ユーモア」と「皮肉」があったり。
今回も期待通りに、たくさん笑わせてもらいました。
『爪切りハイジャッカー』」には皮肉な笑いを。
『悲しきタラバガニ』では『理科の実験』のような食事に、素直にクスッと。
『規則を食う人々』ではまた、皮肉な笑い。
『「カーナビゆうこ」との別れ』には、作家らしい想像力で、車を運転しない私にも、そのカーナビとやらについて、なんとなくわかったような気になりました。
でも、一番おもしろかったのは、『ある打圧系作家の苦悩』。
筆圧がもともと強いことから、手の痛みを軽減するためワープロに変えた著者が今度はもろもろの事情により、また、手書き原稿に戻ってしまった、という件りで、「以前より文字が下手になってしまった」という記述があり、その表現がなんとも可笑しい。
実は私も昔よりずっと字が下手になりました。原因ははっきりしていて、職業上、長年、短時間でメモを書かねばならないということを続けていたせいです。
楷書なのに、だんだんきちんと止めやはねを書いてる時間がなくて、楷書でもない、行書でもない、なんとも中途半端な文字しか書けなくなっていて、自分でも「これはまずい」と思い、丁寧に書こうとするのだけども、長年の習慣の結果、やっぱり「変」。
こんな状態の私なので、椎名さんのこの『ある打圧系作家の苦悩』と題された一文は、個人的にもとてもおもしろかったのです。
もちろん、この本全体から、実際に椎名さんが訪れた世界中と日本を比較しての文章の中から日本の問題点がいろいろ浮かび上がってくるので、その辺りも、私にはおもしろいけれど。
その本質的には深くて、笑ってはいられない問題を、独特の文体でさらーっと読みやすく表現してくれているので、読みやすいということでも、優れていると思います。
むずかしいことを、さらにひねくりまわして、訳のわからない文章をとくとくとして新聞に寄稿している学者がよくいますが、むずかしいことをわかり易く表現するほうが本当はむずかしいし、価値があると私は思います。
ただ、椎名さんの、この文春に連載しているエッセイは、人によって好き嫌いが分かれるかも知れません。私は、好きです。
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