おもしろい本

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精霊の守(も)り人

この本の存在は、以前から知っていたけれど、日本人の書いたファンタジーが気に入るだろうか・・・と懐疑的になっていて、敬遠していました。

私の場合、本を読む、特に物語を読むのは、現実世界から遠く離れた世界に一時遊びたいという気持ちがあります。

だから、日本と全く異なるヨーロッパ的色彩の濃い物語の方が、その目的に叶うので、ファンタジー以外でも、圧倒的に外国文学を読むほうが多いわけです。

でも、新聞のコラムで、『日本人の書いたファンタジーも負けていない』との一文を目にして、食指が動きました。

で、読んでみたところ・・・とても気に入りました。

精霊の守り人 (偕成社ワンダーランド)精霊の守り人 (偕成社ワンダーランド)
(1996/07)
上橋 菜穂子二木 真希子

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テンポの速い展開と、過不足のないすっきりとした文章、登場人物たちの印象、作者の価値観などなどが。

この物語はハイファンタジーなので、現実の世界は、全く出てきません。

作者の頭の中で作り出された世界は、人間の暮らす世界と、その人間の世界と重なるもうひとつの精霊たちの世界の二本立てです。

1冊目が発行されたときは、シリーズ化する予定ではなかったようですが、物語が動き出して、「守(も)り人」シリーズとなっています。

で、そのシリーズの各巻の紹介が、本の最後のページにあり、それには「人の世界と精霊の世界が混在するアジアンハイファンタジー」と銘打ってあります。

その通りに、人間の世界、特にこの物語『精霊の守(も)り人』の舞台となる新ヨゴ皇国(おうこく)は、「神ノ国」で、帝がいるので、日本がモデルだと思わます。(二作目以降では、いろいろな技術にも秀でている国で、長く戦争をしたことがないという点などが明らかになり、ますます日本を思わせます。)

そして、さし絵が、日本のような韓国のような、中国のような、アジアっぽいところが、とても新鮮で親近感が持てました。

(但し、登場人物の名前は、「バルサ」とか「タンダ」とか、ちょっと無国籍の雰囲気です。「チャグム」には、なんとなく、韓国を連想しましたが。)

単に親近感が持てるだけでは、惹き付けられはしなかったと思いますが、先にも書いたように、ストーリー展開がスピーディーで意外性があって、読み始めたら止まりませんでした。

この第一作『精霊の守(も)り人』では、カンバル王国出身のバルサという女用心棒(とってもカッコいい女性)と、新ヨゴ皇国の第二皇子チャグムの、命を狙われる旅を描いているのですが、それに精霊の世界と、市井の人々と、帝や新ヨゴ皇国の政治を司る者たちなどが絡んでいます。

いろいろと魅力的な物語ですが、一番気に入ったのは、「命を大切に」というメッセージが強く織り込まれているところ。

バルサはチャグムを守るために敵と戦うので、そういう戦闘シーンが多々ありますが、むやみに人を殺したりはしないのです。むしろ、敵であっても、なるべく殺さないようにと気を配る女性です。

バルサは悲惨な運命に翻弄された女性で、わけあって女用心棒を生業にしているけれども、金高で動くのでもありません。

この巻で、とんでもないお荷物ともいえるチャグムを守ることになったけれど、バルサたちの「託された命を懸命に守る」というぎりぎりのやり取りは、後に新ヨゴ皇国の未来を左右することになる、チャグム皇子の精神的支柱になります。

一口では、この巻やこのシリーズの魅力をとても語れるものではありません。

夢の守り人 (偕成社ワンダーランド)夢の守り人 (偕成社ワンダーランド)
(2000/05)
上橋 菜穂子二木 真希子

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虚空の旅人 (偕成社ワンダーランド)虚空の旅人 (偕成社ワンダーランド)
(2001/07)
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私は、バルサはもちろん、チャグムもとても気に入ったので、シリーズの残りのチャグムが出てくる『夢の守り人』と、『虚空の旅人』と、『蒼路の旅人』と、そしてシリーズ最終巻の『天と地の守り人』を先に読みました。

どの巻も独立して読める作りらしいので、そうして読んだけれど、どちらかというと発表順に従って、『闇の守り人』と『神の守り人』も読むほうが、シリーズ最終巻の感動が増すかも知れないと思いました。

もちろん、『天と地の守り人』(全3巻)はシリーズ集大成なので、読み応えがあって、それまでの登場人物オールスター総出演という趣きがあります。

一応、小学校高学年以上が対象だそうで、そのせいか活字が比較的大きめで、近視の眼にはありがたい大きさでしたが、そればかりではなく、文章が簡潔で抑制が効いていて、過不足ない、という印象です。(ひらがなが少々多いけれど、これが気になる人には、軽装版というのが出ています。)

アジアっぽい世界を舞台した物語でも、本当に今まで読み慣れていたイギリスのファンタジーに負けていないし、もうシリーズが終わってしまったのが残念だと思いました。

私は知らなかったのですが、2008年の4月から、NHK教育テレビでアニメ化されて放送されていたそうです。
  
      アニメの「精霊の守り人」のサイト

サイトでそのアニメの内容を見ましたが、やはり原作とは少し異って、ストーリーにいろいろな創作もあるようでした。予告の画像を見たところでは、なかなか素敵にアニメ化されていたようです。DVD化もされているそうです。

精霊の守り人 第1巻 (初回限定版) [DVD]精霊の守り人 第1巻 (初回限定版) [DVD]
(2007/06/22)
麻生我等

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でも、まずは原作を読んで、さし絵を頼りに脳内映画化をされることをお勧めします。

そうそう、一作目の『精霊の守(も)り人』の表紙の絵と、『蒼路(そうろ)の旅人』の表紙の絵は、とても素敵です。どちらもチャグムの絵です。

特に『蒼路(そうろ)の旅人』の表紙の絵は、見ただけでドラマを感じます。この絵の意味は、この巻のラストを読まないとわかりませんが、並々ならぬチャグムの決意を示していて、画家の力量を感じます。

蒼路の旅人 (偕成社ワンダーランド (31))蒼路の旅人 (偕成社ワンダーランド (31))
(2005/04/23)
上橋 菜穂子

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もし、私のように、「日本人作家のファンタジーってどうかなあ」と迷っている人がいたら、ぜひ、読んでみて欲しい作品です。

精霊の守り人 (偕成社ワンダーランド)精霊の守り人 (偕成社ワンダーランド)
(1996/07)
上橋 菜穂子二木 真希子

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まだこのシリーズの紹介ページはありませんが、私のサイトの「こども図書館ドットコム」もどうぞご覧下さい。

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