おもしろい本

読書案内サイト「こども図書館ドットコム」の別館ブログです。 サイトで紹介している本のネタバレコメントを受け付けます。絵本・ファンタジー・ミステリーなどが中心。

サスペンスの王様 W・アイリッシュ

最近、本を整理していて、ウィリアム・アイリッシュの短編集が出てきました。
これを買ったのは、本の奥付けからたぶん、15年くらい前のことです。

実は、先日亡くなった栗本薫さんの、私の100冊近くに及ぶ長年の愛読書「グイン・サーガ」を懐かしく見直して、奥の方にアイリッシュの短編集が鎮座しているのを見つけ、これまた懐かしくなって、手にとりました。

晩餐後の物語―アイリッシュ短編集 (1)晩餐後の物語―アイリッシュ短編集 (1)
(1972/03/10)
ウィリアム・アイリッシュ

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私はひところ、ヒッチコックの映画に凝ったことがあって、アイリッシュがかの有名な『裏窓』の原作者だ、くらいのことは知っていて、読みたくなって、気に入って短編集を全部購入したものdす。

でも、ずーっと、忘れていました。

ひとつひとつの短編のストーリーも忘れていたので(もちろん、『裏窓』はしっかりわかってますが)、新鮮な気持ちで楽しめました。

そにかく、彼の作品は、その場の状況や、登場人物の感情の動きの描写が、群を抜いています。

ある抜き差しならない状況に落ち込んだ人物が、必死で取り始める行動を、息をもつかせぬような、圧倒的な筆力で描いて、一旦読み始めたら、途中で止められません。

その以外な結末がまた、深い余韻を残します。

ハッピーエンドと言えるものもあるし、読み終わった後の犠牲者の運命に戦慄するものもあるし、少数ながら、ユーモアあふれるものや、サスペンスというより、本格推理と言って良いものもあります。

これから読む方のために、詳しくは言いませんが、たとえば、短編集5の『わたしが死んだ夜』に収録された『妻が消える日』は、どこの夫婦にも起こりそうな、平凡なけんかが発端となって、読み応えのある犯罪事件へと発展してゆきます。

短編集2の『死の第三ラウンド』に収録された『チャーリーは今夜もいない』は、主人公の父親としての気持ちと、職務に忠実であろうとする気持ちの板ばさみと、事件の発展が絡みます。

短編集3の『裏窓』に収録された『ただならぬ部屋』は、サスペンスというより、本格推理と言ってよいような一編になっています。部屋の見取り図なんかもあったりして。

短編集4の『シルエット』に収録された『パリの一夜』は、珍しいユーモアあふれる楽しい一編です。

ドラマ『Q.E.D.証明終了』に「サスペンスの女王」という異名の女優さんが登場しましたが、ウィリアム・アイリッシュは間違いなく、「サスペンスの王様」です。

1940年代という、日本では昭和15年以降に当たる時代に活躍した彼の作品は、21世紀の今読んでも、古さは全くありません。

まだ彼の作品を読んだことのないミステリーファンには、絶対、お勧めです。

但し、短編集1の『晩餐後の物語』に収録された『ヨシワラ殺人事件』は・・・なんだか明治の頃みたい。昭和の設定なのに、切腹だの「夕霧さん」という名前とか。明治というより、江戸時代末期?。これだけは、???でした。

でも、他は絶対、お勧めです。

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この世でいちばん大事な「カネ」の話

ちょっと刺激的・・・に感じるタイトルですが、先日、NHKの朝のラジオ番組の中の土曜日のコーナー「著者に聞きたい本のツボ」で、著者の西原恵理子さんのお話を聞いて、読んでみたいと思っていました。

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)
(2008/12/11)
西原 理恵子

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図書館で見つけて読んでみたところ、私が中学生や高校生の時にぜひ読みたかったと思う本だとわかりました。

著者の少女時代は、厳しいことがたくさんあり、いろいろな経緯があって高校中退となりましたが、その後、どうやって生活し、どう考えて仕事を「つかみとってきたか」ということが述べられています。

著者の仕事は「絵」ですが、美大を目指すために入った美術専門の予備校での成績は、最下位でした。

そこから著者は、自分の立てた「月収30万円」という目標に向かって行動し、実現させます。その考え方と行動には、とても説得力があります。

タイトルから誤解しないで欲しいのですが、著者は守銭奴ではないし、「お金」こそすべてなどという主張をしているのでもありません。

働くことの大切さと、ご自分がどうやって「マイナス」と思われた環境から前を向いて生きてきたかが綴られています。

とても勉強になった本です。

この本で知ったことを、今の自分に応用できないだろうかと、私も必死で考えているところです。

自分のことを考えると、私の前にも「マイナス」がたくさんあったけれど、著者のようなアイデア(というには、もっと切迫したものだけれど)が浮かばず、視野が狭かったと感じました。

本の終盤に『自分の中の「ダメなところ」を、そんなに恥じることはないんだよ。肝心なのは、だめになったら、そこからどう切り返すかなんだから。』という文章があります。

苦労して生きてきた著者の言葉なので、心に響きます。

タイトルは、『この世でいちばん大事な「カネ」の話』となっていますが、せっかく素晴らしい内容の本なのに、タイトルでちょっと引いてしまう人がいるかも知れません。

私は「いちばん大事な」でなくて、「とっても大事な」の方がしっくりくるように思います。

それはともかく、これからどうやって生きてゆこうかと考えて迷っている中学生にも、高校生にも、もちろん、いろいろな苦境にある大人にも、お勧めできる本です。

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)
(2008/12/11)
西原 理恵子

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NHKラジオのサイトで、「著者に聞きたい本のツボ」が聴けます。
西原さんの写真もサイトに載っています。

    NHKラジオの「あさいちばん」のサイトの該当ページ
      

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『農場の少年』追加しました

本サイト「こども図書館ドットコム」に、ローラ・インガルス・ワイルダーの『農場の少年』の説明ページを更新しました。

農場の少年 (講談社青い鳥文庫―大草原の小さな家シリーズ (53-5))農場の少年 (講談社青い鳥文庫―大草原の小さな家シリーズ (53-5))
(1985/01)
ローラ=インガルス=ワイルダー

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3月に『シルバー湖のほとりで』の説明ページを更新したので、約二ヶ月ぶりです。

この『農場の少年』には、インガルス一家は登場せず、ワイルダー家の家族のみ。農場の少年というのは、後にローラの夫となるアルマンゾのことです。

この本では、とにかくアメリカ開拓期の食生活(但し、富裕な人の)がとても印象的です。
私にはおやつとしか思えないバターや砂糖たっぷりの甘いものが、「食事」として摂られていることにまず驚きます。

アメリカ開拓期は、日本では江戸時代末期から明治の頃に当たるので、その頃の日本の食生活を想像してみると、本当に日本とアメリカって、対照的な食事をしていたんだるうなあと、ふたつの国の違いを強く感じます。

農繁期には、幼い子どもたちも揃って朝早くから夜遅くまで懸命に農作業をするところなんかは、凄いと思います。毎日の食料を得るために苦労していたインガルス一家からみると、ものすごく恵まれた環境のワイルダー一家ですが、全員協力して勤勉に働いているところなんかはとても好感が持てます。

学校よりも大事なことがある日(この場合は、自分の誕生日)には学校を休んでもいい、なんていうところはおおらかでうらやましく感じます。

こシリーズはどの本を読んでも、アメリカと日本のいろいろな違いを感じて、それがおもしろいけれど、大事な価値観はどちらの国も同じだとも、強く思います。この『農場の少年』もそれは同じ。

私には、当時の食料事情と、農民の暮らしがとても興味深く読める巻でした。

本サイトの『農場の少年』の説明ページもどうそ、ご覧ください。

農場の少年 (講談社青い鳥文庫―大草原の小さな家シリーズ (53-5))農場の少年 (講談社青い鳥文庫―大草原の小さな家シリーズ (53-5))
(1985/01)
ローラ=インガルス=ワイルダー

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次はいよいよ、シリーズ中の「白眉」と私が思っている『長い冬』を紹介するつもりです。

長い冬 (岩波少年文庫 (515))長い冬 (岩波少年文庫 (515))
(2000/06)
ローラ・インガルス・ワイルダー

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本サイトを更新できるのは、もうちょっと先になると思うので、ちょっとだけご紹介。

シリーズ中でもっとも厳しい状況に追い込まれたインガルス一家と、デ・スメットの町の人々の長い冬が描かれています。日本の中では冬が一番辛い北海道でも、この人々が経験した過酷な冬にはとうていかないません。

『長い冬』は辛いときに読むと、元気をもらえる本です。

長い冬 (岩波少年文庫 (515))長い冬 (岩波少年文庫 (515))
(2000/06)
ローラ・インガルス・ワイルダー

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